第23章 中継
話を聞くと、高木くんは何者かに拉致されてその映像がこのタブレットにリアルタイムで写っているらしい。
その高木くんを撮っているカメラは全部で3台。
正面、真横、下から仰いだ3つのアングルの映像がランダムで流れているようだ。
犯人は、今日本庁に来る予定だった少年探偵団の子たちにこのタブレットを託し、佐藤に渡して欲しいと頼んだとのこと。
その際『遅くても明日明後日にはダメになってしまう』と言っていたそうだ。
これは恐らく、縛られたあの状態で放置され続ければ飲まず食わずで3日で限界が来る。
つまり、高木くんの命は明後日いっぱいまでということなのだろう。
「映像の発信元は分かるかね」
「ええ、サイバー犯罪対策課に任せれば」
「すぐには無理だと思うよ」
目暮警部と白鳥くんの会話に割って入ったのはコナンくん。
この子、いつでもいるな。
「そのタブレット端末で操作出来るのは、表面についている映像をつけたり切ったりするボタンだけ。
それ以外のタッチパネルや電源ボタン、充電するコネクタまで使えないようにされてるから」
「でもねコナン君、このタブレットを解体すれば内蔵部から直接充電出来るし、中のハードディスクからデータを抜き取ればどこから情報を受けていたかぐらいは分かるんじゃ」
「無理ね。解体したせいで高木くんの映像が見られなくなる可能性がある。
コナンくんの言う通り、犯人はボタンを改造したりタッチパネル等の機能を全て無効にするプログラムを仕込んでいるのよ。
解体したら映像が遮断され、二度と立ち上がらなくなる仕掛けくらいしていると考えるのが妥当だわ」
白鳥くんの言葉を、今度は私が遮った。
そしてコナンくんが続けて口を開く。
「まあ、そんなリスクを負わずにそのタブレットが通信を受けてる回線業者から辿っていく手もあるけど、この手の犯罪者は大抵海外のサーバーを経由してるから、短時間で発信元を割り出すのは多分無理だと思うよ」
「で、でも海外のサーバーならさんにならどうにかできるんじゃ…」