第23章 中継
翌日、いつも通りパソコンと睨めっこしながら作業を行っていると、最近所轄から配属された新人が恐る恐る私の元へ来た。
「あの…警部……」
「ん、何?どうかした?」
「これ、捜査一課へ引き継がなきゃいけない書類なんですけど…」
「だから?」
「えと…その……」
「…まさか、捜一へ行くのが怖いとか言わないわよね?」
「…そのまさかです」
はぁ、と私は大きな溜息をついた。
実はこれ、うちの部署の新人あるあるなんだよな。
刑事部、しかも捜査一課の人達は、顔はもちろん体格やら雰囲気やらが厳つい人ばかり。
それにビビって最初は1人で刑事部フロアへいけない新人が続出しているのだ。
全く、自分も警察官ならもっとシャンとしろ!と思うが、そう言ってもしょうがないのでだいたい元捜一の私が付き添って行くことになっている。
「分かった。あの5分で片付けるからちょっと待ってて」
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「国対でーす」
捜一の部屋の入口のドアをコンコンと鳴らしてそう言うが、誰も反応しない。いつもなら誰かしらがすぐに対応してくれるのに。
何やら、みんなで集まってタブレットの様なものを見ているようだ。
「すみませーん、国対でーーす」
声量を上げてもう一度言うが、やはり無視。
痺れを切らした私は、部屋の中へ入っていった。
「え、ちょ警部、勝手に入っていいんですか?」
「だってみんな無視するんだもの。
怖いならそこで待ってなさい」
そうして私は人が集まっている所まで来た。
「何かあったの?」
「えっ!?さん、どうしてここに!?」
佐藤に聞くと、驚いた様子で振り返った。
「書類の引き継ぎをしに来たのに、誰も返事してくれないんだもの。
それより、一体何があったの?」
「これ、見てください」
そう言って見せられたタブレットには、首と手足に縄をかけられて板の上に横たわる高木くんの姿が映っていた。
「はぁ!?何これ!!
これじゃあ、板から落ちたら首を吊っちゃうじゃない!!?」