第23章 中継
喫茶ポアロに出向いた日から数日が経った。
特に変わった事は起きず、平和…とは言い難いもののある程度平穏な日々が続いていた。
あの日以降ゼロには1度も会えていない。
……元気かな。
只今の時刻は午後6時半。
この後、生活安全課から書類をいくつか貰って確認作業をしたら私の業務は終了。
目的のフロアへ向かうために廊下を歩いていると、前から高木くんが歩いてきた。
「おー高木くん、お疲れ様。
最近よく会うわね」
「お疲れ様です。
さん、俺、行ってきます…!」
「…お、おう。行ってらっしゃい……?」
そう言って、これから出掛けるらしい高木くんを見送った。
なんだか、様子がおかしい。
いつもならニコニコで挨拶してくれるのに、今日は少し怖い顔をしていた。
そんなに気を引き締めて、これから何処に行くんだろうか。
張り込みとか?
何にしても、相変わらず捜査一課は大変そうだな。
______
書類を受け取って自分の部署フロアに戻ろうとした時、今度は佐藤と由美に出会した。
「おー!2人ともお疲れ〜」
「あ!さんいい所に!!」
そう言って、由美が私の元へ駆け寄ってきた。
「知ってます?高木くんの行先!!」
「え、張り込みじゃないの?」
「うち、今張り込むような事件追ってないんですよ」
そう言いながら、佐藤もこちらに歩いてくる。
「何か知りません?」
「そう言われてもな…。
さっき高木くんに会ったけど、なんか怖い顔して『行ってきます…!』って言ってたから、てっきり張り込みにでも行くのかと思ってたんだけど」
「私もなんですよ!
これから行かなきゃいけない所があって、1泊して朝一で帰ってくるって高木くんが言ってたから、美和子とデート?って聞いたら『デートじゃありませんよ』って真面目な顔で否定されちゃって」
「佐藤も高木くんの行先分からないの?」
「そうなんですよ。
目暮警部には『ある人に報告しなきゃいけないことがある』って言ってたらしいんですけど」