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【名探偵コナン】sangría

第22章 雨の日は



数分間その状態でいると、ふとゼロの手が緩んだ。
それに合わせて私も回していた腕を解いて、肩へと置く。


ゆっくりと離れていくと、至近距離で目が合った。

……綺麗な碧眼。やっぱり、ひたすらに悲しみに覆われた目。
その瞳をじっと見つめて、その瞳にじっと見つめられる。



そのまま吸い込まれるように顔を近づてけていき、やがて私たちは唇を重ねた。


その時、たった1粒だけ、涙が頬を流れていった。







「んっ…」


1度離れたかと思えば、ゼロの手が後頭部に回って再び口付けられる。まるで離すまいと言うように。
私ももう一度首へ腕を回した。
そして、角度を変えながら何度も唇を重ねる。


「…んっ、はぁ……」

「っ、…」



向き合って座っていた体制から、気付けば組み敷かれていた。




「んっ、ふぁ…、んんっ」




口付けはどんどん深いものになっていき、遂には舌まで絡め合う。
そして、冷たい手が私のブラウスの中に侵入してきた。
それでも止む気配は無い。

何度も何度も啄んで、吸って、犯される。





ーー…このまま、どうにかなってしまえばいい。



心に大きく空いた穴を埋めるだけの、傷を舐め合うだけの行為。
流されるまま。
ただ、お互い人肌が欲しいだけ。

この時の私たちには、もはや正常な判断なんて出来なかった。



お願いだから、誰でもいいから私を温めて、何も考えられなくなるくらい頭をいっぱいして、そして、何もかも忘れさせて…ーー










侵入してきた手が膨らみに触れようとしたその時、




ブーブー


引き戻すかのように、マナーモードの携帯が震えた。
吐息以外無音のこの部屋では、その振動さえも大きな音となって私たちの耳へはっきりと届いた。



途端に動きが止まる。


震え続ける携帯と、微動だにせずに見つめ合う私たち。
乱れた息を整えるために、肩だけが上下している。







「……でんわ」


鳴り止まない携帯と動かないゼロに痺れを切らして、私は呟いた。
ゼロは私の頬を1度撫で、ゆっくりと立ち上がり電話を取る。






「……降谷です。
申し訳ありません、すぐに向かいます。
はい、問題ありません……」




そんな言葉が聞こえる中、少し乱れた服をそのままにして寝っ転がった体制のままゼロを眺めていた。
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