• テキストサイズ

【名探偵コナン】sangría

第21章 ポアロ



「ゼロが生きててよかった。
それだけ言えれば、今日はもう満足」


そうして私は席を立った。
伝票を持ってレジへと向かう。



「お会計をお願いしてもいいですか?安室さん」

「……かしこまりました」



ピッピッとレジを打っていき、淡々と支払いを済ませる。
すると、レジカウンター越しにゼロが私のおでこに手を当てた。



「…おでこ、悪かった。
痛かったか?」

「大丈夫だよ。痛いの慣れてるし」



そして私は、おでこの手をとって一度ぎゅっと両手で握り締めた。
改めて実感したかったんだ。私の目の前で、ゼロが生きてるって。




「…うん。
ご馳走様でした」

「…ああ」


手を離してそう言うと、私は振り返ってドアを開けた。
カランカランと再びドアベルが鳴る。



外に出るとあたりは少し暗くなっていて、厚手の雲が広がっていた。

もうすぐ雨が降りそうだ。

/ 532ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp