第19章 部下との再会
警部になったさんは更に仕事をバリバリこなすかと思いきや、職権乱用で自由奔放に成り代わった。
「青柳、後はよろしく!」
この言葉をどれだけ聞いたことか。
最初に比べると、俺の扱いが雑になっている。絶対。
でも、尊敬する上司に任されるのは悪い気はしない。
もしかして、信頼の裏返しかな?とかちょっと思い上がってる。
でも仕事押し付けてくんのはどうかと思う。
あれから2年が経って、さんと過ごすうちにこの人の弱い部分を知った気がする。
あの時話していた「色々」の内容を聞いた時、この人は強いんじゃなくて、強くならなきゃいけなかったんだと思った。
大切な人達を亡くすなんて、俺だったらきっと耐えられない。
それでもさんは、自分の大切なものを守るために今もこうして強くあり続けてる。
本当にかっこいい上司だ。
俺は部下として、少しでもこの人を支えられたらと思う。
俺に出来ることなんてたかが知れてるけど。
あ、でもパワハラ紛いな事をされるのはちょっとやめて欲しいな。
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「ほら青柳、何ぼーっとしてんの?
例の事件の報告書早く上げて」
「…うす」
「それと、終わったらこの間の被疑者の身元引取りに行かなきゃなんだから。
あと、ICPOから要請された案件は進んでる?」
「え、でもそれさん担当でしたよね?」
「あ、ごめん私この後行かなきゃ行けない現場があるから、後はよろしく」
「あっ!!またそうやって逃げる!」
そう言って、さんは一目散に部屋から出ていった。
あの人、まじで足速いんだよ。
はぁ、今日もいつも通り、尊敬する上司からパシられます。