第18章 危険なエリア
暖かい日差しが感じられる今日この頃、
私はジョディと一緒にとあるカフェでランチを食べていた。
赤井さんが亡くなったと聞いたあの日から会っていなかったから、正直すごく心配していたけどとりあえずは大丈夫なようだ。
普通に食事を楽しんでいる。
「そういえば、この間帝都銀行の強盗事件に巻き込まれたんですって?
大丈夫だった?」
「ええ、コナンくんや少年探偵団の子達が頑張ってくれたお陰で怪我人はゼロ。強盗犯もすぐに捕まったわ」
「またあの子たち巻き込まれたの? !?
全く、危なっかしくて心配ったらありゃしない!」
そうしてしばらく食後の紅茶を飲んでゆっくりしていると、ジョディが徐に口を開いた。
「…実は、あの人質の中に秀が居たの……」
「……え?
いや、さすがに見間違いじゃないの?だって…」
「いいえ、あれは確実に秀だったわ!
私が見間違えるはず無いもの!
顔に火傷の跡があって口も聞けないようだったから、多分あの事件のショックで言葉と記憶を失ったんだわ」
でも、赤井さんは先日来派峠で焼死体となって発見されたと、そう言っていたのはジョディなのに。
実際、赤井さんの指紋とその焼死体の指紋が一致している。
死体が上がっているにも関わらずあの事件現場から脱出したなんて、残念だがそんなことありえない話だ。
あまりにも現実離れしたことを言い出すジョディに困惑する。
「…その人質になってた赤井さんらしき人物は、その後どうしたの?」
「分からない…、いつの間にか居なくなっていたから……」
ならば、それはやっぱり見間違いだろう。
ただ、大切な人を失う辛さは痛いほど知っている。
こんな状態のジョディに現実を突きつけるなんてこと、私には出来ない。
「あの時彼、黒いキャップを被っていたの。
そのキャップの後ろに入っていたワンポイントが米花百貨店のオリジナルデザインだとわかったから、明日あのデパートに行って聞き込みをするつもり」
俯きながら、静かにそう話すジョディ。
「……わかった、明日私もついていくわ。米花百貨店に」
今は、この状態の彼女に着いていてあげよう。
きっと現実を知った時、壊るほどの悲しみにくれてしまうから。