第17章 難攻不落の
「…じゃあ2つ目。何で父さんのことを知ってんだ」
「それは……1度だけ、会ったことがあるから。
と言っても、もう20年も前の話なんだけど。
でも、もう一度会いたくてずっと探してた。
そうしたら、8年前に事故で亡くなったって聞いてね…」
「…何でそんなに、父さんのことを?」
「……初恋、だったから」
そう言うと、快斗くんは少し顔を赤らめて俯いた。
何であなたがそんな反応をするのかと突っ込みたくなったが、まあいいだろう。
「あなたを見た時びっくりしたわ!
20年前に見た、舞台で輝く黒羽盗一さんにそっくりだったから。
だからあの日、あなたを追いかけたの。どうしても会いたかったから」
すると俯きながら小さく呟いた。
「オレ、そんなに父さんに似てた?」
「ええ、とっても。
あの時私『あなたは魔法使いですか?』って聞いたでしょ?
そうしたらあなたは『ただの怪盗、そして奇術師です』って答えた。黒羽盗一さんに聞いた時も、ほとんど同じことを言っていたわ」
「そっか…」
そして快斗くんは、残っていたチョコレートアイスを食べて、私を真っ直ぐに見た。
「オレ、あんたのこと信用するよ」
そのあまりにも真っ直ぐなその瞳に、彼が神出鬼没の大泥棒だと忘れてしまいそうになる。
「ふふっ、うふふ、あはははは!!」
「お、おい、何で笑うんだよ!」
「だって、あなた普通の高校生なんだもの!
生意気で可愛くて、守りたくなる」
「はぁ!?可愛いは余計だ!!」
そのワードに敏感な時点で、可愛いんだよな。
全く、あのキザで小賢しい怪盗がこんな普通の高校生だなんて。
世間が聞いたらどう思うか。
「ねぇ、私たちお友達になりましょう!」
「はぁ?何言ってんだあんた?」
「私、あなたのこと気に入っちゃった!」
「なっ…!」と再び赤くなった快斗くんに私の連絡先を渡した。
「立場上、警察官の私と怪盗のあなたは敵。
でも、と黒羽快斗なら問題はないでしょ?
怪盗キッドの手助けは出来ないけれど、快斗くんに困ったことがあったら、力になるわ!
もちろん、その逆もお願いね?」
勢いに押された快斗くんからも連絡先を受け取る。
多少無理やり感はあれど、私に新しいお友達が出来ました。