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【名探偵コナン】sangría

第16章 餌付け



某日、

私はとあるスーパーに買い物に来ていた。
もちろん、日用品を買うために。


実は、こうやってゆっくりと買い出しに来れるのは、1ヶ月に数回程度しかない。
それは、決して面倒くさいからではなく、時間が無いからである。

好き勝手プラプラやってるかのように見える私だが、一応これでも階級は警部。
上と下の板挟みで色々苦労しているのだ。
それに加えてここ最近は事件事故が増加傾向にあり、私たちが担当する書類の量も増え続けている。
家に帰れないほどでは無いが、わざわざ買い物に出てわざわざ自分のためだけに料理をする気力も体力も時間も持ち合わせていない。
だからこうやって1度にドサッと大量に買い物し、しばらくは食いつなぐという生活を送っているのだ。

フルーツや野菜を買いたいところではあるが、先程も言った通り生憎料理をする暇がないので生鮮食品は結局腐らせてしまうことになる。
だから買うのはほとんどカップ麺とバー食品、あとちょっとお菓子。
私の体の9割はこれで成り立っていると言っても過言ではないだろう。


1度、同部署の部下達から「さんは朝スムージーとか飲んでそう!」「分かる!夜も高タンパクで低糖質な料理を毎日ちゃんと使ってて、作り置きとかしてそう!」という話が聞こえてきた時はさすがに頭を抱えた。
ごめん、真逆だわ。


というか、どんなイメージだよそれ!
そんなに私は渋谷とか港区で働くOLに見えるのか!?
警察官は似合ってないってか!!

私だって1回な、朝スムージーに挑戦しようかと思ってバナナとかブルーベリーとか買ったことはあるんだよ!
でもな、気づいちまったんだ。
うちにはミキサーなんて代物はないってこと。
ミキサーなしでどうやってスムージーなんか作るんだよ。
それで結局、買ったフルーツ達は私の腹の中でシェイクだ。
二度とスムージーなんて作るもんか。



あの苦い思い出に苛まれながら、私の手はカップ麺を掴んではカゴに入れる作業を繰り返していた。




「そんなものばかり食べていたら太りますよ」


突然背後から話しかけられるまでは。
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