第15章 奇術師
「コナンくん!!」
キッドが逃走し、事が粗方片付いた後、私は屋上から降りてきたコナンくんの元へ走っていった。
「ごめんさん、キッド取り逃しちゃった」
「ううん、ミュールは無事なようだから、今回はコナンくんの大勝利よ!
ジャケットは仕方がないわ。元々直接返せるなんて思ってなかったしね」
「あ、それなんだけど…
これ、キッドからさんにって!」
そう言って渡されたのは、1枚のキッドカード。
「一応、発信機とか盗聴器が付いてないか調べたけど、大丈夫そうだったよ」
「そう、ありがとね」
コナンくんからそのカードを受け取った。
___月下の美しい貴方へ。
2足揃った美しいミュールを貴方にお贈りしたかったのですが、残念ながらあれは私の望むものではありませんでした。
代わりといっては何ですが、そのジャケットを貴方に預けます。
いつかまた会えるその時まで、貴方が持っていて下さい。
貴方はとても魅力的だ。
再び貴方とお話できることを、心から願っています。
月下の奇術師___