第63章 ★ 麻薬 ★ 夢主視点 ★ ① ★
…私は《人》になれた気がした…
私はジジィに顔を向けた
ジジィの驚いた顔が見えた
私の目に膜がはられて…零れた
「…ジジィ…私、泣けるようになったよ…ここで…ローの隣で…私…皆の前で…『痛い』って言葉も言えて…泣けたんだよ」
泣きながら微笑んで言えばジジィが片手で軽く抱き締めるように私の頭に腕を回してきて
私の顔はジジィの胸元にたどり着いて体を預けた
クロガネ)「すまんかった」
「…」
クロガネ)「お前の心を守れんくて…すまんかった」
「…ジジィ…」
クロガネ)「…お前が…生きてて良かった…人になれて良かったと思っとる」
「…グゾジジィ」
クロガネ)「可愛げのないガキじゃな。本当に」
ジジィはそう言って頭を撫でた
私の小さな泣き声が甲板に聞こえた
「…ジジィ…」
クロガネ)「…なんじゃ」
「私、またジジィに会えてよかった。あのまま何も言えないままだと思ってたから」
クロガネ)「…なんじゃ?ワシに言う事があるんか?」
「…私を、育ててくれて…私の心を、助けてくれて…ありがとう」