第63章 ★ 麻薬 ★ 夢主視点 ★ ① ★
私はゆっくり顔を上げジジィから視線を外して…どこを見ていいか分からなくて…目の前の…
甲板の奥に広がる…《海》を眺めた
あの時の事を思い出しながら
「…私、疲れてたんだと思う…体もだけど、それ以上に…心が…」
クロガネ)「…」
「私の周りには…《死》が多すぎた」
クロガネ)「…」
「正直…私は彼らに毒されたんだと思う…彼らの優しさや暖かさが…私を、麻薬の様に蝕んで行ったよ…ここは居心地が良すぎた」
クロガネ)「…確かに…ここの連中は見てきた海賊とは違う気がするのう」
「…私が初めてこの世界で目を覚まして…色んな事が起きたよ。意味は分かるのに分からない言葉。いきなり心臓を取られたのはまじでビビった」
クロガネ)「…心臓を取られた?」
「そー。ローの力なんだって。ローに心臓を取られて大人しくするしかなかった。まぁ『いいよ』って言ったの私なんだけどさー。でも凄くない?まじで取られると思わなくない?私、自分の心臓を見たんだよ。生きた状態の動いてる心臓を。触りもした。心臓があったと思われる所に穴開いてたのに痛くないしさ。平気そうに人の心臓を持ってるローを見て『こわっ』て思ったけど…」
クロガネ)「…坊主…すげぇな」
ジジィが引いた顔して見たけど気にしなーい