第89章 ★ 涙 ★ 夢主視点 ★ ① ★
「…皆に黙ってる事…私の夢の話」
私はゆっくり息を吐いて自分を落ち着かせた
ここにはローしかいない
近くに人の気配はない
部屋でこの話しをしたくないから今ここで話す
私は重たい口を開いた
「…自分の記憶の話…皆には、思い出せないって言ってる記憶なんだけど…」
ロー)「…」
「…初めは本当に思い出せなかったの…それに気付いたのは、体を動かせるようになってからなんだけど…実は、私の頭の中に、黒いモヤみたいになってる記憶…って言ったらいいのかな…その記憶を見ようとすると、体が拒否して、弾かれるの」
ロー)「…弾かれる?」
「…うん…頭が痛くなって…震えだして…寒気も、凄くて…吐きそうになって…バチンって、頭の中で響くの…それを1度、師匠に相談したんだ…カカシじゃなくて師匠に…どうしていいか、どうすればいいか、どうしてそうなるのか…それがなんなのか分からなかったから…師匠には『見たら駄目。思い出さなくていいよ』って言われたから、ずっと思い出せない事にしてて…私、その事すっかり忘れてて…元々気にしてなかったから、なんでも良かったんだけど…たまに見る夢…多分それが私の記憶なんだろうね…私がカカシに会う前の、死にかけてる時の事を夢に見るの」
私の後ろでローが小さく息を飲む音が聞こえた
「…黙ってて、ごめんなさい…ただ、怖くて…」
ゆっくり話してるけど…震え出す私の体
ローは優しく力を入れて抱き締めてくれた