第2章 邂逅編
さて、身体の汚れも疲れも綺麗さっぱり、髪を乾かされながら船漕ぎをするふたりは悟の部屋のベッドへとまっすぐ向かった。
風呂でぎゃあぎゃあと抵抗した悟も眠気と反論する気力もなく、別に保育園でも隣同士敷布団を敷いて寝ている仲であるから構わないと、普段ひとりで眠るベッドに先にハルカを入れて眠りについた。
いつも一人で眠るベッド。父は仕事で悟が眠っている間に帰ってきているらしいが、普段からあまり顔を合わせる事がない。家族仲が悪いのではなく父の休みは一緒に過ごす。けれどもそれ以外家で過ごすのは母とだけだったし、本当は寂しかった。どうしても寂しくて泣きそうな時は両親の部屋のベッドに潜り込んで眠ることだってあった。
今晩は悟のベッドに、保育園で隣り合わせに眠る友達がいる。一日のはしゃぎ疲れや湯上がりの眠さがなければたくさん話しをしていつもよりも遅くまで起きて、父親に友達が泊まりに来ているんだって教えたかった、でも……。
『ん…、おやすみ、悟君』
重たそうな瞼で至近距離のハルカが微笑んでいだ。ハルカは本当ならば少しばかり夜ふかしをして、悟ともっと遊んでいたかったのだが、まだまだ成長すべき幼い子供であるのはお互いに同じで。体を綺麗にして温まって、ベッドに入った状態で眠気を我慢するなんて出来ない。
彼女が直ぐ側の悟におやすみと言って瞳を閉じて行く。悟はそれを見守る。
「(……なんだ、もう寝ちまうのか…まあ、仕方ないよな)」
すぅ、すぅ、と小さな呼吸が側で聴こえてくる。あっという間に先に夢の世界に旅立ってしまってるのを見て小さくため息をついた悟。
夜ふかしなんて無理そうだし、悟自身も眠くてハルカが居ることに安心して、瞼が何よりも重たい。