第2章 邂逅編
白髪の髪を持つ幼き少女。
彼女はその髪色を持つが為に同じ年齢の子供達から"その色はおかしい"と嘲笑われ、それが嫌になり引っ込みがちな性格になってしまった。
別に白髪が特異なものではなかった。人が多い所であればそれは何人に一人は居る、というくらい少しだけ世間では珍しいだけ。でも、少女が住むその地域では古くから白髪の者が滅多に生まれず、また引っ越してくる事もなかった為にあまりにもその髪色は目立ってしまうのだ。
元より両親の仕事上、引っ越して僅か二年。その白髪の少女が保育園に預けられる前にその閉鎖的な文化の自然に囲まれた田舎に引っ越してきたみたらい一家。
白髪の少女、ハルカは両親と姉の四人家族。父は白髪でなく、ハルカの姉は父と同じ髪色であり、母とハルカが白髪。少女のその髪色は母からの遺伝だった。
それは昔から男女構わず白髪の子供が生まれるという家系であり仕方のない事。ハルカの姉は保育園でいじめに遭う事はなかったが、ハルカが保育園に通う事になると、妹であるハルカだけは白髪という事とよそ者という事の二点で子供達に執拗に小馬鹿にされていた。
彼女が言い返せたならば、いくらかその幼稚ないじめも無くなったろうに。
ハルカはとても素直で、引っ込み思案という性格が既に幼い時点で形成されていた為に病み、保育園に通い始めて僅か……、二度目の引っ越しをする事となってしまった。
『(私がもっと我慢すれば、みんなに迷惑を掛けなかったのかな……)』
彼女自身を追い込む、その思い込み。
そんなある時、丁度父親の仕事上、転勤しなくてはいけない事態になった。どっちにしろ場所を変えないといけない事もあり、道路もロクに整備されていない山奥の集落から人の多い都心へと引っ越しをしたみたらい一家。
別に両親も姉もハルカを恨んじゃいない。自然豊かな所は良かったが、交通の不便さ、そして買い物など欲しい物の入手方法も限られていた為に引っ越しをする事に喜んでいた方。それでもハルカは自分のせいでこうなってのではないか?と自己を追い詰めた。