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怪しい者ではありません【名探偵コナン】

第1章 入れ替わった…?


まさか自分がこうなるとは……病室の天井を見つめながら、この数ヶ月のことを思い返す。


そもそもの発端は半年ほど前……

しばらく謎の体調不良が続いていて、私は今いるこの総合病院を受診した。あれやこれやと検査を行った結果、私の体内には悪性腫瘍が見つかり。
医師からは“今から投薬や手術をしても手遅れ”、“余命は長くても半年”と宣告された。つまり、“もうすぐ死ぬ”ってことだった。


茫然自失の数週間を過ごした後、覚悟を決め。それからしばらくは身辺整理に追われた。いつ死んでも大丈夫なよう、仕事を辞め、私物の始末をし、大切な人達への挨拶も済ませた。

(これだけは不幸中の幸いだったのか、私には恋人も旦那も子供もいなかった)

住んでいた家を先月出て、現在は気ままな入院生活の身。


だけど最近体力が随分落ちてきたのをありありと感じる。いよいよ死期が迫ってきてるんだろう。


病院に持ち込んだのは、スマホと、最低限の身の回り品だけ。

ただ便利なご時世になったおかげで、スマホの中には愛して止まない名探偵コナンのマンガが全巻揃っている。1巻から最新巻まで、もう何度読み返しただろうか。


今日もベッドに横になりながら、スマホでコナンのマンガを開き、画面上のページをつらつらと捲る。




いつの間にか眠っていたようで。




ふっと目が覚めた。




横になってる状態なのは変わらないけど、見える景色は見慣れた病室ではない。どこかの屋外だ……コンテナが山のように積まれてるのが見えるから、港…?まだ夢の中なのか。

次に指先が生温かい液体に触れていることに気付く……もしかして血…!?でもケガを負ったような痛みはひとつも感じない。夢だからか。

そしてすぐ側には、目を白黒させながら私を見下ろす、よく知った人物がいた……

ああ、これは夢の中で決定だ。だって私の隣にいるのは、あのコナンくんなんだから……


「雅美さん…じゃねーよな?どーなってんだ!?」

「コナンくん!」

「喋るんじゃねぇ!傷口が……いや、この人ケガ…してるのか?」

「ケガ…?分かんないけど、全然痛くないよ」

「大丈夫ならとりあえず、逃げるぞ!ヤツらに見つかったらヤベぇ!」

「……っえ?」


グイッと手を引っ張られ、よく意味が分からないまま、コナンくんに従ってとりあえずその場から逃げるように走った。
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