第4章 地下鉄より地下の秘密のテニスコートへ

　「Don't you have any more gum?（ガムはもうねえの？）」


　「I don't want to be taken away by Kite.（木手に取られてもうねえよ）」


　「Hmm.（ふーん）」
　カークは木手のいる方に視線を向けていました。


　「Hey, now that you know, why don't you go back to Brayton?（ほら、わかったらブレイトンのところに戻ったら？）」
　丸井がコートの定位置に戻ろうとしたところ、


　「In that case, how about I give you some sweets?（なら、オレが何かお菓子でもあげようか）」
　カークが片手で丸井の肩に手を置き、やはり絡んできたのです。さらに彼が丸井に顔を近づけてきたところ、遠くからボールが飛んできました。木手のサーブボールでした。


　「おっと、危ねえじゃねえか木手ぇ～！」
　丸井に当たりそうになったため、笑った顔で怒っていた丸井です。


　「早く戻って来なさいよぉ。次のサーブを待っているのですから」
　ラケットを突きつけ言った木手は、丸井とカークを見てメガネをギラッと光らせていました。