「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第3章 金座駅までの誘惑とドギマギ
彼がスイーツに見惚れ、スイーツ店の奥へ進んだ隙に「今だ!」と丸井は人差し指で先を指して合図します。木手も濡烏に気付かれないよう、丸井とこっそり走り出しました。
「あなた、まさか彼の正体に気付いたのですか?」
木手が丸井の隣を走って聞きますが、
「正体って?」
と、首を傾げた丸井です。
「気付いたわけではなかったのですか」
「正体のことはよく分からねえけど、怪しいかもしれないのは分かった」
「まだそこまででしたか」
「まだそこまでってどういう意味だよ?」
「教えられません」
「ちぇー。まあ、いいや。七番ホーム急ぐぞ、木手。って、七番ホームって、どっちにあるんだ」
「看板と電光掲示板を見ながら、ゆっくりと進めば分かりそうなものですが、そんな余裕はありませんよねぇ」
「駅員さんに聞くか。どこかにいねえかな」
理想のペアは途中で人混みになっていたからか、早歩きをしながら駅員の姿を探します。すると、先にあったエスカレーターの近くにいました。
「いましたね」
「ああ。すみませーん、七番ホームってどっちにありますか?」
駅員D「七番ホームはこっちじゃないよ。向こうの方ちょっと戻って階段上って右に進んだところにあるよ」