「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第3章 金座駅までの誘惑とドギマギ
「It might still be around there.(まだその辺にいるかもしれないですよね)」
丸井と濡烏の様子をうかがっていた木手も英語で話すことにしたようです。また、木手は濡烏の正体に気付いていないフリをすることに決めたようです。
「えっ! んなわけないだろい。あの人なら、オレが別の電車にさっと乗ったあと、警備員たちに連れて行かれるのを見たんだからな」
木手の言葉に一瞬ドキッとなった丸井は、濡烏が質問していた『アイツ』が誰か分かります。そのため、周りをつい見渡してしまいましたが、冷静になって日本語でそう返しました。
「そうですか」
「木手くん、残念そうだね。君がアイツと決着をつけたがってたもんね」
「今はあなたにゴーヤー食わせたい気分ですよぉ」
耳打ちをしてきた濡烏に小声で言い、メガネを光らせていた木手です。
「どうした?」
丸井が二人に尋ね、風船ガムを膨らませます。
「No, this girl wanted to help you.(いや、この子が君を助けたかったってさ)」
と、濡烏が言うと、丸井は目をパチパチさせていました。
「へ、へえー」