「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第2章 芝谷駅で迷う外国人と幾つもの誘惑
五ツ谷駅を降りたあと、ダッシュで走り出します。しかし、茶髪の外国人男性にすぐ腕を掴まれてしまいました。
「くそ、足が速え……」
「This isn't the place to get off yet.(まだここが降りる場所じゃないぜ)」
と、丸井は彼に電車の中に再び戻されてしまいます。
所変わり、木手は青年に自己紹介を済ませていました。
「オレは木手永四郞です。比嘉中テニス部三年で部長しています」
「僕は濡烏醤(ぬれがらすひしお)。黒部とは学生からの友人で、たまにこうして彼に頼まれることがあるんだ。断っているんだが、いつも断れないんだよな」
「そうですか。なるほど」
「丸井くんはオレも絶対に見つけて、香水ぶっかけヤローから助けるから」
「いえ、彼との決着はオレにやらせてください」
「わかった」
「それでは、オレはこれで」
木手が行こうとすると、濡烏が苦笑して引き止めます。
「待った、待った。置いてくなって。僕も君と一緒に丸井くんを捜すんだから」
「ついて来なくても結構ですよぉ。そう言いながらまだ黒部コーチのゲームは一時中断でなく、続いているのでしょう?」