「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第5章 湫袋駅行き電車内での誘惑
「ガムならあなた、あるでしょう」
と、木手がカークとブレイトンテニスゲームのときに丸井から取り上げたガムを返します。ちなみに味はグリーンアップル味です。
「そうだ。これ、お前に没収されたガムじゃん。返せよい」
返って来たガムを受け取った状態で丸井がそう言いました。
「だから、返したでしょう」
「何だ、ガム持ってるんじゃいらねえよな」
男子高生が出していたガムを荷物の中にしまおうしたときです。
「I want gum!(ガム、欲しい)Give it to me!(ちょうだい!)」
と、男の子の声がしました。理想のペアが探していた子どもの外国人でした。
「I looked for it.(探したぜ)Where were you going?(どこ行ってたんだよ)」
片手を腰にやって聞いた丸井です。
「It's over there.(あっちだよ)」
子どもの外国人は一両目の方を指さして答えました。
「やはりですか」
小さくため息をつく木手です。
「オレたち、全然反対の方に行って探してたんだな」
ガックリした丸井でした。
「見つかったから良いのでは」
と、言ったあと、木手は男子高生に英語でガムをせびる子どもの外国人に微笑していました。