「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第5章 湫袋駅行き電車内での誘惑
金座駅で濡烏醤と行き会ってしまった理想のペアは、その場を動かず彼の様子を窺っていました。
「I found out your whereabouts after asking the station staff.(駅員さんに聞いて君たちの居所が分かったんだ)」
「あの、日本語話せますよね?」
丸井が前に出て濡烏に尋ねます。
「!」
目を丸くしていた濡烏です。
「木手は知っていたみたいですが、オレももう分かっています。黒部コーチの友人でゲームクリアの邪魔しに来たことも」
「そっか、丸井くんもオレのことが分かっていたか」
濡烏は英語で話すことを止め、日本語で話していました。
「やっぱり、オレたちと同じ日本人だったんですね」
と、丸井は安心したような表情になります。
「ああ、そうだね。うん、日本語で話していた方が楽だな。それに、君たちも翻訳アプリをいちいち使わなくて済むし、いいだろ」
「はい」
木手は既に手に持っていた携帯をしまいました。丸井も携帯をしまいます。
「オレさ、黒部に自由にしていいって言われたんだ。用済みってことかな。このあと、どうしようか悩んでいたところ、君たちにどうしても会っておきたくて、ここまで追って来たんだ」
濡烏は片手を頭の後ろにやり、理想のペアに事情を話しました。