第5章 無題
私達が小学生の頃。
私は、世界が汚い事を知ってしまった。
この世界に正義などないのだろう。
そんな事を日々思いながら過ごしてた時、クレハと出会った。
始まりは、隣の席になった事がきっかけだった。
小柄でふわふわとしていて、キラキラと笑う子だなと思った。
時折、忘れ物をしたりするので、貸しているうちに懐かれた。
私は、特に気にも止めてなかったが、知ってしまった、クレハの秘密。
たまたま帰りが遅くなり帰宅途中、ふと公園に目をやると、ポツンとクレハがいた。
何をしてるんだろうと思ってよく見てみると、あちこち血だらけだった。
私は驚き走って近寄る。
『っ!クレハ!!!』
私の声に反応したクレハは、何時もの笑顔が無かった。
目に光がなく、傷だらけで特に足元が血だらけだった。
子供の私にはおおよそ検討も付かない状態に、どうにかしなければと頭を働かせる。
「桜ちゃん…私もぅ消えちゃうのかな…」
クレハのその言葉に、私の中で何かが崩れた。