第17章 お仕事
「お待たせ!」
レイが小さな箱を手に持ち戻ってきた。
『ゆうや、これ似合うと思うの。』
レイから渡された箱を手に取りキヨに見せる。
キ「これって!」
中にはシルバーで出来たブレスレットが入っていた。
シンプルな作りだが、真ん中にガーネットとオニキスの装飾がされており、男女どちらが付けても良いように出来ている。
キ「かっこいい。」
『この間レイさんとデザインして出来たばっかりなの。どうかな?』
キ「凄くいいと思う!シンプルだけど存在感があって、付けても邪魔にならなさそうだし、どの服にも合いそう!」
キラキラした目でブレスレットを眺めるキヨに
『ゆうや腕貸して。』
キヨの腕を取りブレスレットを付ける。
『やっぱり似合うね!レイさんこれも一緒に買ってく。』
キ「なっ!いいよ!女の子に買わせるなんてそんな情けないことっ!」
『いいの、私が私の大切な人にプレゼントしたいって思ったからそうするの。それに私のお店だし、私が買ってもプラマイゼロ。』
キ「そう言う問題じゃっ!」
『じゃあ、私と勝負しよ?』
キ「勝負?」
『私が勝ったら、黙って受け取って。私が負けたらゆうやの好きにしていいよ。』
キ「勝負ったってここで何すんだよ?」
『こっち来て。』
手を引かれ連れてこられたのは、バックヤードだった。
『目逸らしたら負けね。』
キ「はっ?」
手を握られ上目遣いで見つめられる。
そんなん卑怯じゃん。逸らしたら負けって…。
いつもと雰囲気の違う桜、近いから桜の甘い匂いが、目線が脳をクラクラさせる。
(っ!やべぇっ!)
どれぐらい時間が経ったか分からない錯覚に陥り
キ「っ!無理っ!」
耐えきれずキヨが視線を外す。