第1章 同期
「さ〜ね〜み〜君」
後ろからした声に、実弥は一応振り返った。
「うるせぇ、そんなデカい声出さなくても聞こえんだよ。」
振り返った先には、思っていた人物がいた。同期の皇楓(すめらぎかえで)だ。肩にちょうどつくくらいの栗色の髪をした、見た目だけは可愛らしい女の子だ。
「だって大声で呼ばなきゃ振り向いてくれないじゃない。また合同任務の指令、出てんのよ?」
「なんで毎回お前なんだよ。」
「仕方ないでしょ。同期なんだから。」
こんなやり取りも毎度のこと。実弥の目つきの悪さから気軽に声をかけるのを躊躇う人も多い中、楓は物怖じせず実弥と言い合う。
「同期って言ったって、お前俺の弟子だろ。」
「最終選抜は一緒でした。だから同期です。」
楓は元々、水の呼吸を使っていた。実弥に出会って、風の呼吸を知ってから、実弥から風の呼吸を教えてもらい使うようになった。
「とにかく、任務は明日からだからね。遅刻しないでよ?」
「誰が遅刻なんかするか。」
「はいはい、よろしくお願いしますね〜。」
楓が手をヒラヒラさせながら去っていく。