第4章 粂野匡近
「あれ?実弥君だ。何してるの?」
思ってもみないところで、思ってもみない人で出会うと、言葉がうまく出てこない。
「てめぇ、なんでこんなところにいんだよ。」
「うわ、女の子に、てめぇ、はないわ。流石にひどくない?」
楓が腕を組んで、ぷぅ、と頬を膨らませた。
「実弥、僕も彼女の意見に賛成。女の子に、てめぇ、はひどいよ。」
実弥の隣りを歩いていた隊士がニコニコと二人の会話に入ってきた。
「実弥がごめんね。僕は粂野匡近。実弥の兄弟子で、鬼殺隊の隊士なんだ。」
隊士なのは隊服でわかるよ、というツッコミは誰もしない。
「はじめまして。実弥君の同期の皇楓って言います。兄弟子っことは粂野さんも風の呼吸ですか?」
「そうだよ。あ、もしかして君が実弥から風の呼吸を習った子?」
「はい、そうです。そしたら私も妹弟子みたいなものですね。仲良くしてください。」
楓と粂野が握手をしてぶんぶんと手を振っている。同じようなタイプなのかもしれない。