第14章 幾度目の感情
今夜は妲己ちゃんと遊ぼう。何故か急にそう思い立って来てみたはいい物のなんだか楽しくない
そりゃお酒もつまみも美味しいよ?だけど何か味気ない
「白澤様、何かありましたか?」
「ん、ちょっとした悩み事だよ。ゴメンネ、気を使わせちゃって?」
どうやらぼーっとしていたみたいで妲己ちゃんに気を使わせちゃった
軽い感じに笑って見せるけど彼女はじっとその目で見つめてから
「…お話伺ってもいいかしら?」
と断りにくい笑顔(凄み)を利かせて聞き返してきた
「ちょっと女の子に好かれてるんだけど、ほらこの前連れてきた子。同じ職場だからやりにくいんだよね。」
此方も負けじと良くありそうな理由を並べて困った様に小さく溜息を吐いて盃を開ける
「石榴ちゃん?それは良かったじゃない。なァに、もしかして天下の白澤様が戸惑っていらっしゃるの?」
コロコロと笑いながらお酌してくる彼女は綺麗な顔をしてるのに失礼な事を言ってくる
「戸惑うっていうか、僕的には嬉しい限りなんだけどね。」
「あらァ?その割に『困ったな』って顔に書いてあるわよ?」
話を流そうと覆ったけど彼女はそうはさせてくれなかった、というか此処まで話した時点で傾国の美女に勝てる訳ないか。
我ながら結構参ってるみたいだ。でも、認める訳にはいかない。
「どうしたの?嬉しいなら私の所になんて来ないでしょう?」
「ソレはソレ、コレはコレだよ。今日‘は’妲己ちゃんが良かったの。」
盃を置いて彼女に抱きつこうと寄りかかるも軽い仕草で煙に巻かれて、僕の体はまぬけな感じで床に倒れた
そのまましなやかに立ち上がれば何時もは見せない冷めた目で僕を見下ろして彼女は口を開く
「私白澤様の浮雲みたいな所がスキよ、なのに今のアナタは浮足立ってまるでお話にならないワ。」
「・・・・・・・・・。」
「申し訳ないけど、そう云うヒトは好きじゃないわ。私は自信に溢れた殿方が好きなの。知ってるでしょう?」
図星を突かれてぐうの音も出せなくなる。彼女の指摘は正しい、だからこの僕も黙って聞き入ってしまう