• テキストサイズ

【鬼灯の冷徹】君という花【R15】

第13章 芽生え


衆合地獄でアイツと鉢合わせした後、むちゃくちゃに石榴ちゃんを扱った事は正直今でも後悔してる
だって、あの朴念仁が彼女の事「かわいい」だなんて言うとは思わなかったし、そもそも前に薬を届けた時から気になってたとか・・・今度からお使いに行かせるのは止めよう。癪だけど次からは僕だけで行こう、あんな奴の目の保養に使われるだなんて絶っ対に嫌だね!!!
だから、確かにベタベタしすぎかな―とは思ってたよ。我ながら。
だって石榴ちゃんってば男装を解いても固定客のお客さんはさほど減らないし、それどころかますます好かれちゃって
毎日楽しそうに笑って仕事してるし。
ちょっと女の子たちに焼いてたのかもしれない。
正直やりすぎたと今は思う。
石榴ちゃんが部屋に引きこもって今日で三日になる。

「ねぇ石榴ちゃん、今日はお店開けないから何でも話し聴くよ?」

最初のうちはそっとしておこうとほっといたけどいくら声をかけても無反応、中からは音一つしない、そもそも食料はどうしてるんだろう?

「もう本当、僕の悪い所あるならいくらでも聞くからさ。出ておいでよ。」

別に出てくるまで勝手に過ごしてもいいはずだった。だけどお店に来るお客さんに「今日はいないよ」と断りを入れるたびに危機感が増して言った
部屋の扉の前で右往左往する、とごとりと大きな音がした後に叉静まり返る

「石榴ちゃん?・・・・・大丈夫だよね。」

それでも返事がない。
それどころか進入を妨げる扉の下の隙間から何かが溢れ出てきた。
頭の中で警報が鳴り響く。
もう待ってられない!
本来の姿に変えて扉に体当たりをする。二、三度体をぶつければ大きな音を響かせ扉は倒れた
急いで部屋の中に入る
早くこの不安を取り除いて欲しい!!

部屋の中では水差しが倒れ、布団の影で表情の見えない彼女が細い腕を投げ出して床の上に倒れていた
慌てて抱き起こせばか細い呼吸を確認できた。どっと疲れが出る
どうやら微熱があるようだ。眼もとには泣いて乾いた涙の痕が見える
「ごめんね、追いこんじゃって。」
そう言いながら汗ばんだ額に軽いキスを落としてから寝台に戻して僕は看病の準備を始めるために部屋を出た
どうか目覚めた彼女が笑顔でありますように…
/ 74ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp