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【鬼灯の冷徹】君という花【R15】

第13章 芽生え


ふわふわする
どこか安心するあたたかさ
ああ、このにおい
だいすきな、あの人のにおい

だいすき?

すきって、どんなことだっけ



ゆっくりと石榴ちゃんが瞳を開く。
どうやらまだ意識がはっきりしていない様で焦点が定まらない様だ
「石榴ちゃんコレ飲んで。ゆっくりでいいから全部飲むんだよ?」
薬湯を冷ましたものを入れた吸い飲みを渡せば両手で抱えて少しずつ口に運んで飲み下していく。
「飲み終わったら横になって…眠くなくても目を閉じるんだよ?いま軽い貧血状態だから。」
全部飲み終わればボーっとした様子でこちらを眺めてくる
とろんとしたひとみが何時もより幼く魅せて、一瞬目が離せなかった
少しの静寂の後、彼女が薄く口を開いた
「アタシ…変なの。」
「え?」
「白澤の事見ると胸がドキドキして体が熱くなるの。これってk」
その言葉をさえぎるように彼女の額に自分の額を重ねる。
彼女の体が跳ねるけど気にせず触れ続ける…平熱だ。下瞼を見る限り特に貧血とかもないようだ
「…熱があるね。もしかしてもうすぐアレ?」
そう言っておでこを離してから月の物の事を遠巻きに聞けば小さく頷かれ、呆れた風に溜息を吐いてから彼女を横に抱きかかえる。
「?!! 別に此処で寝てれば治るよ?」
「ダメ。こんなに弱った女の子を倉庫に寝かせる事は出来ないね。今夜は僕がこっちに寝るから…」
嘘も方便。病は気から、そんな風に言えば彼女も大人しく僕の体にしがみ付いた
そうこう言ってる間に自室に戻り寝台の上に彼女を横たわらせて布団を胸までかけてから優しくおでこを撫でる。
誤魔化しついでに冷えピ○を張ってあげれば気持ちよさそうに目を細める
「きっとホルモンバランスが取れてないんだよ。暫くしても変な気持ちが続くようなら言ってね、薬膳鍋作ってあげるから。」
そう言って踵を返して倉庫の片付けに向かおうと思えば腕を引かれた
「・・・寒い。」
乞うような掠れた声に抱きしめたくなる気持ちをグッと抑え込む。
「…わかった、眠るまで手握っててあげる。だから今日はもう休んで…ね?」
「ん。おやすみなさい…」
そう言って彼女は瞼を閉じる。しばらくすれば安らかな吐息が聞こえてきた
寝顔は穏やかで、かなり体調も良くなってる様に感じる。
そして僕は多分彼女の「病」の原因が分かった

恋の落とし穴にご用心、って所かな?


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