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【鬼灯の冷徹】君という花【R15】

第11章 違和感


「なァに今の音。白澤様見てきてもよろしくて?」
「多分錦木が窓を閉め忘れただけだと思うよ。別に気にすることないさ。」
「あらイヤだわ。泥棒にでも入られただどうしますの?わたくし見て参りますわ」
「あ、ちょっと」
すごく嫌な会話が聞こえたと思えば先程の女性と鉢合わせになる。ビックリした顔で見られた後にじろりと全身を眺められたかと思えば頬にビンタされた
…そう言えばアタシ今髪下ろしてるし生足じゃん。
キッと睨みつけられ先程までの甘い声と打って変わってドスの聞いた声で
「アンタそう云う事だったんだ?嘘を吐いてまで白澤様と一緒に暮らすだなんて、最低。」
そして今度は彼を見上げて(あ、白澤は事態を観察するだけで自室に突っ立っている)一度きつく抱きしめてから潤んだ瞳で
「白澤様、見ましたか?錦木は卑しき女狐にございます。どうか早々にお引き払いします事をお勧めいたします。」
そう言って泣き真似をしたと思えば踵を返し出ていってしまった。

「どうするの。コレ明後日にはご贔屓の女の子(お客さん)達詰め寄ってきちゃうよ?」
「どうしようもないね。来るもの拒まず、去る者追わず。」
月明かりだけが差しこむ店に明かりをつけて薬棚から軟膏を取り出す。いつの間にか近くに来た白澤が冷え○タが包まれたタオルを差し出してくれたので受け取って頬を冷やす
「でも話してる感じからすると結構イイとこのお嬢さん、って感じだったけど?」
「ああ、うん、確かそんな事聞いたような気がするね。」
もう良いでしょ、見せてごらん。と頬を冷やしていたアタシの手を掴む。
良く分かんないけど、イヤだったから手を引いた。
「何してるの?早く見せてもらわないと痕残っても知らないよ。」
「・・・ん。」
渋々頬を晒す。軟膏を少し手に取って薄く延ばしてくれる指があたたかい。
「…もともとさ、キミが女性じゃないかって疑うお客さん多かったんだよね。」
「え?嘘、だってそんな事一言も言わなかったじゃん。」
「半信半疑の状態の方が人は「知りたい」って興味を持つんだよ。おかげで売り上げも伸びたしね。」
だからバレても大丈夫。そう言って振り向きながらいつも通りの顔に戻った白澤を見ていたら、もうどうでもよくなってしまった
「じゃあ、明日からアタシはどうすればいいのさ?」
「うーん、そうだね。じゃあ………」
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