第4章 初 体 験(♡♡)
そういえば、と夜久がスマホを取り出す。
「お前の彼氏、すげぇうるさいんだけど」
何が、と画面を見れば、リエーフの名前の横に他23件と書かれたメッセージの通知。慌てて自分のスマホを見れば、それ以上の数に軽くめまいすらする。ご飯中にごめんと断りを入れ、恐る恐る開く。
俺も焼肉行きたかったです
夜久さんずるいっす
悔しい
次は俺も行きます
全国行ったら2人で打ち上げしよう
何食ってるんですか!
悠里ー?
[画像2枚]
ねぇ、この写真なんですか
なんでそこに座ってるんですか?
お誕生日席じゃないんすか?
もっと警戒心持ってください
悠里は俺の隣だけなのに
悠里!
以下、スタンプ、スタンプ、スタンプ…
後で電話しよう、とだけ送って、そっと画面を消した。文字を読んだだけなのに、この疲労感やばすぎる。
『夜久、ごめんね』
「いや俺は全然…そっちのがやばかったろ」
「なんか、柏木と灰羽ってどう見ても
精神年齢が全く合わない気するの俺だけなんかな」
いえ、木葉、その通りです。
まぁ今はほら合宿終わりだから向こうも色々しんどいんじゃない、と返せば、あれ、これ放ったらかしにしてるわたしが悪いのかななんて、ふと思う。でも向こうはまだ部活の時間だし、高校戻ってからもなんかあるだろうし、うぅん。
『ま、いっか!お肉たーべよ!』
ようやく戻ってきた黒尾と木兎に負けじとお肉を焼き、お肉を食べ、ついでにデザートのアイスも頼み、120分の食べ放題はあっという間に終わってしまった。
店外に出て、駅までの道すがら、次はいつ集まれるかなぁとスマホのカレンダーを見れば、来月の頭にはインターハイ予選が始まることに気付く。
『次会えるの、インハイ予選かな』
「だろうな!俺らも見に行くぜ!」
ヘイヘイと、元気いっぱいの木兎。全国行ったら、きっとインターハイ自体は夏休みの開催になるだろうし、観光ついでに行こうかな。
『梟に蛇に鼬かぁ、敵がたくさんですねぇ』
「ま、ウチの子たち強いから行けるっしょ」
元主将の貫禄、さすが。そうして、予選会の会場で会うのを約束して、この日は解散になった。