第3章 春 風 と 合 宿(♡)
大学終わりのバイト、4時間×3連勤をなんとか終え、わたしたちは梟谷高校へと向かっている。黒尾と夜久、隣には木兎と木葉も。潔子ちゃんにも連絡はしたけど、やっぱりこっちには来れないみたいでちょっと残念。
『はああぁ、潔子ちゃんロス……』
「うちの白福と雀田も会いたがってたぜ」
『女子マネ集まり悪くない?なんで?
もうわたしのことなんてどうでもいいってこと?
そうして同級生の男子と後輩たちの中で、
女ひとり寂しくしてればいいって言うの?』
「おいおい電車でヒス構文やめろよ」
烏野のさ、爽やかスガくんとさ、しっかりもの澤村くんとさ、大砲東峰くんも来ないしさ。海もやっぱり来れないしさ。鷲くんとか猿くんも来ないしさ。あーあ。
つり革に全体重をかけ、電車に合わせてぶらんぶらんと揺れる。やめなさいよと黒尾と木葉に制止されるが、おかまいなしだ。
『みんなに会いたいなぁ…』
「俺らがいるだろ、な?元気出せよ?」
『木葉が優しい悔しいぃ!』
なんでだよと吹き出す木葉に、ちょっと分かると木兎。そうやってぎゃーぎゃー騒いでいるうちに、ついに梟谷高校の最寄り駅へと到着。
高校まで5分ほどの道のりを歩けば、ぽかぽかと暖かい、春の日差し。春らしい気温、と言うには日向にいると少し暑いぐらい。
そう言えば、と夜久が切り出す。
「みんな3日間泊まってくんだよな?」
『もちろんそのつもり!』
音駒にはまだマネちゃん入ってないみたいだし、と続ければ、今頃大変そうだよな、と黒尾も同調。お泊まり会楽しみだなぁ。
『わたしもう卒業してるし、
今年こそ枕投げとか参加できるかな!?
みんなで布団並べて寝られるかな!?』
「「「いえ、マネの部屋で寝てください」」」
黒尾、夜久、木葉は直角に腰を折って懇願。ちぇ。
「えぇー、俺は一緒がいい!」
「黙れ木兎!」
木兎だけは味方のようで、嬉しいような、なんとも言えない複雑な気持ち。そうして、先に合宿所の方によって余計な荷物を置き、私服組が着替える。わたしはもう、ガッチガチに音駒の赤ジャージだから問題無し。
朝食が終わったであろうみんなを探しに、体育館へ向かう。そこにはひょろりと長い、獅子の姿があった。