第2章 両 想 い(♡)
リエーフと付き合ってから、かれこれ3週間が経った。部活帰りに一緒に帰ったり、週に1回あるオフの日に出掛けたり、それなりに恋人っぽいこともしてみた。
付き合ってみると、部活の時と同じくらいやかましいけど、それよりうんと優しくて、かっこよくて、紳士っていう言葉がぴったりな振る舞いだった。
美味しそうに食べてる悠里センパイ可愛い
ここ段差なんで気をつけてくださいね、手、どうぞ?
悠里センパイ、次ここに行きたいんですけど、
移動に時間かかりそうなんでお手洗い大丈夫ですか?
悠里センパイ、どうぞ
悠里センパイ、大好きです
悠里センパイ、手繋ぎましょ?
悠里センパーイ!
『ああぁ───っ!』
「おーおーどうしたどうした、ゆーり荒れてんね笑」
今日はリエーフも部活なので、仲良しの奏深と下北沢のカフェに来ている。名目はもちろん、恋愛相談だ。
『なんか、なんかなんかなんか!
女の子扱いすっごいしてくれて、なんか...』
「ふぅん、灰羽くんのこと、
段々かっこよく見えてきちゃったんだ」
カフェラテをストローで混ぜながら、奏深はにやけ顔を抑えようともせずに言う。図星すぎて何も言えない。
『いやなんか最初は、別に年下だし、
可愛いな〜って思うことはあったんだけど...』
「うんうん」
『でも、不意にかっこよく見えたりして、
なんか、好きになってきちゃったかも、しんなくて』
「うんうんっ」
なんかこの人すごい楽しそうなんだけど。
『好きになるつもりが無かったって言ったら違うけど』
「こんなに自分がチョロいと思わなかった、と?」
『っ、そう、そうなの!それ!』
ちょうどその時、注文したスイーツが届いた。奏深はダイエット中だからと、ベイクドチーズケーキをひとつ。わたしはというと、生クリームたっぷりの春限定苺マシマシパンケーキに、ミニガトーショコラのセット。食う気しかない。
いただきますと手を合わせ、まずはパンケーキだけで味わう。それから、クリームをつけて、苺を乗せて頬張ると、口いっぱいに甘酸っぱい味が広がった。めっちゃ美味い。