第17章 幸せな音が溢れる世界で
……私はまだお団子2つしか食べられてないのに…一体いつの間に…?
そんなことを考えながら、残っているお団子4つを大事に大事に食べさせてもらった。
次は何を食べようかとお膳に視線を巡らせたその時
「「煉獄さん!鈴音さん!本日はおめでとうございます!」」
「炭治郎君に禰󠄀豆子ちゃん!」
流石兄妹…と言いたくなってしまうようなそっくりな笑みを浮かべた2人と
「…う…っ…ひぐ……姉ちゃん…っ…お…おめでどう…」
鼻水と涙まみれの善逸が来てくれた(伊之助君は食べるのに夢中で、誘っても来なかったそうだが、それが非常に伊之助君らしくて良いと思う)。
私は思わずその場から立ち上がり、お膳を避け禰󠄀豆子ちゃんへと近づき
「……人間に戻れて…本当に良かったね…!」
禰󠄀豆子ちゃんの身体を正面から抱きしめた。禰󠄀豆子ちゃんは、急な私の行動に全く驚いた様子を見せる事なく
「ありがとうございます!これで心置きなく、煉獄さんと鈴音さんの赤ちゃんを抱っこ出来ちゃいます!」
なんて事を言いながら、私のことを抱き返してくれた。
すると
「ちょっとぉぉぉぉお!弟弟子がこんなに泣いてるっていうのに無視なわけ無視するわけ!?鈴音姉ちゃん酷いよぉ!!!」
相変わらず涙と鼻水で汚い顔をした善逸が、左手を私の背中、右手を禰󠄀豆子ちゃんの背中に添えるようにしながらくっついてきた。
すると
「善逸!涙はともかく、その汚い鼻水が鈴音さんの衣装についてしまったら大変だろう!離れるんだ!」
よくよく聞いてみると辛辣な事を言っている炭治郎君が、善逸の背中に張り付き、その身体をグイグイと引っ張った。
「どさくさに紛れてなに汚いとか言ってくれてんの!?大好きな姉ちゃんのこんな姿見て泣くなっていう方が無理だから!!!」
「……泣くほど喜んでくれるのは嬉しいけど…確かに鼻水は嫌」
「もぉ!姉ちゃんまで何さ!酷い!」
そんな騒がしいやり取りを交わしていると、フッと左側に大きな影が現れ
「竈門少年も竈門少女も我妻少年も…君たち3人、これまで本当によく頑張った!俺は君たちを心から誇りに思う!」
杏寿郎さんが、私を含めた4人一遍に抱き込むように、その長い両腕を伸ばして来た。