第16章 私が守るべきもの
私は、飛び立ちやすいように、重ねた手のひらの上に和を立たせ
「…いってらっしゃい」
「いってくるのぉ~」
フワッと送り出すように下から上へと腕を動かした。
バサバサと羽音を立て飛んで行く和を見送りながら
「……ねぇ…私……どうしたらいいかな…?」
ドッドッドッドッドッドッ
私の下腹部で、自らの存在を主張するかのように元気な音を奏でる存在に、問いかけてしまうのだった。
長きに渡る戦いが終わりを迎えた
過去から現在へと繋いできた絆が
仲間と共に歩んできたこれまでの日々が
私たちに勝利をもたらしてくれた
だけど私は
そこにいられなかった
だからかな
自分だけおいて行かれてしまったような
そんな気がしてならないの
ねぇじぃちゃん
こんな私を許してくれる?
こんな私が母親になれると思う?
ねぇお願い
夢でも幻でもいいから会いに来て
そのだみ声で私を叱ってよ
✳︎第16章-完✳︎