第15章 強くなりたいと願うなら、前を向いて進め
「10秒後に開始だ」
ゆっくりと目を開け天元さんへと視線向けると、天元さんが丁度私に向け目配せして来たところだった。スッと細められた目が"しっかりやれよ"と言っている気がして、私はそれに応えるようにゆっくりと頷いた。
…風邪柱様は絶対に私の攻撃を避けたりしないはず…だったら最初はこの型しかない…!
私はグッと腰を落とし、姿勢を落とす。僅かに腰が軋んだがそんな事を気にしている余裕はない。
「……………3、2、1、始めっ!!!」
天元さんの掛け声の直後
「雷の呼吸壱ノ型…霹靂一閃っ!!!」
右足をグッと踏み込み、風柱様に向け一直線に斬りかかった。
予想していた通り風柱様はそこから微動だにする様子もなく
…っカァン!
私の渾身の一撃をいとも簡単に受け止めた。
「……っく…!」
飛び込んだ勢いで一瞬だけ押し込めていた木刀もあっという間に押し返されてしまう。
「軽ィ軽ィ!いくら速かろうがそんな弱ェ打撃じゃ意味ねェんだよっ!!!」
「……っ…!」
風柱様の厳しい言葉と共に私の2本の木刀は弾き返されてしまい、後方へ飛び上がりながら次の一撃へ備えようとした。
けれども
…っ…先に打ち込まれる…!
風柱様がそんな暇を与えてくれるはずもなく
「のんびり構えてる暇なんかねぇぞォ!!!」
ドギャッ
「…っ!!!」
激しく打ち込まれ、木刀を持っている手から足のつま先までビリビリと痺れが走った。
……速い…天元さんに比べると少し遅いけど…それでも聴いてなければ対応出来ないほどの速さだ…!!!
万が一音が拾えていなければ、あの猛烈な打撃は私の額に届いていただろう。
……あんなのが直撃したら…骨…へこむかも
想像すると背筋がぞっとした。
風柱様は攻撃の手を止めるつもりはないようで
「オラオラどうしたぁ!?受けてるだけじゃなんの意味もねェぞォ!?」
「…っ…く…」
カンカンカンカァン!
と、上下左右、あらゆる方向から打撃を与えて来る。