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音の溢れる世界でいつか【煉獄さん】【鬼滅の刃】

第14章 秘薬を求めて※


「…っ…なんでもありません…」


私はサッと杏寿郎さんから視線を外しそう答える。すると杏寿郎さんは、ゆっくりと私に近づいて来た。

それから私の顎をクイッと掴み、私の視線と自分の視線を合わせるように顔の向きを変えられてしまう。

左下に向けていた視線を斜め上に変え、杏寿郎さんの顔を見てみると


「…っ!」


普段よりも細められた夕陽色の瞳と視線があった。

杏寿郎さんは私の顎を掴んでいた右手を頬に移動させ、慈しむかのように撫でてくれる。


「初めて会った頃に比べると、随分と可愛らしい顔を見せてくれるようになったな」

「…っ…そんなこと…」


"ありません"


と答えようと思った私だが、もう杏寿郎さんに隠したいと思うことなどひとつもない。


「……杏寿郎さんにだけ…見せられる顔…ですよ…?」

「…っ!?」


心も
そして身体も
私の全てを杏寿郎さんに捧げたい
これからも
このさきも
ずっと


「……大好きです…杏寿郎さん」


目を見開き固まっている杏寿郎さんに

ちゅっ

と、軽く重ねるだけの口付けを送った。それから逃げるように杏寿郎さんから離れ


「…っほら!もう行きますよ!」


何事もなかったかのように声をかけながらクルリと振り返ると


「…君は本当に…どこまで俺を夢中にすれば気が済むんだ」
 

杏寿郎さんは眉の端を下げ、困ったように微笑んでいた。


夢中にさせられてるのは私の方ですよ


心の中でそう呟きながら


「こら!待つんだ鈴音!」


私を追いかけて来る杏寿郎さんから逃げるように、離れの部屋から飛び出したのだった。






















"私には杏寿郎さんしかいない"


秘薬を求めた先で


確固たる自分の気持ちを見つけたの


誰かのためじゃない


自分の存在を確かめるためじゃない


ただただ純粋に


あなたのそばにずっといたい


ずっとそばにいて欲しい


そんな未来を守る為に


私はこれからも


戦うことをやめないよ






















✳︎第十四章-完-✳︎


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