第13章 幸せすぎる無理難題と悲しすぎる別れの口火
何から…書こうかな
天元さんの元での修業のこと
上弦の参との闘い
日輪刀を打ち直したこと
善逸と再会したこと
遊郭での闘い
耳を負傷してしまったこと
獪岳が無事生きて隊士をしていること
そして何より
杏寿郎さんという恋人が出来たこと
書きたいことがありすぎて、文章が全く纏まってくれない。気が付くと便せんは4枚目に突入しており
…だめだ!とりあえず書きたいことをざっと書いて、詳しいことは帰った時に直接話をしよう!
そう結論付けた私は、最後に
”色々あって炎柱・煉獄杏寿郎さんと恋仲になりました。私があの炎柱様と恋仲になっただなんて、自分でも未だに信じられません。どういう経緯でそうなったか、書いてしまうと便せんを何枚使うことになるか見当もつかないのでここでは割愛します。任務にきりがついたら休みを取ってそっちに帰るので、何があったかその時聞いてね。最後に、雨の日はくれぐれも無理をしないで身体を大事にしてください。じぃちゃんに会えるのを楽しみにしています。”
と文字をしたため、長い長い文を強制的に終わらせた。
……あんな経緯…全部話すのは流石に無理だけどね
苦笑いを浮かべながら文を折ると、枚数が多いせいかそれなりの厚みになってしまった。
お館様のところに行った後…すぐにじぃちゃんのところに飛んでもらうのは流石にかわいそうだな。忍の里から無事戻ることが出来たら…持って行って貰おう
”無事に任務を遂行し、この手紙をじぃちゃんに出そう”
そんな決意を込め、私は書き終えた手紙を小物入れにしまった。
思いえがいた未来が来る保証はない
そんなことは十分わかっていたはずなのに
私はそれを忘れてしまっていた
ねぇお願い
私の大切な人達をひとりだって奪わないで
あのとき私がもっと何かを出来ていれば
考えるのが恐ろしいほどに哀しい未来は
避けられたのかな?
✳︎第十三章-完-✳︎