第12章 束の間の安息と初めましてと二度目まして※
「…っんぁ…」
じわじわと私の中に入ってくる杏寿郎さんに、私の心も、そして身体も、喜びで震えているようだった。
杏寿郎さんのソレが私の中に全て収まったのか、杏寿郎さんは進めていた腰をピタリと止めた。
…っ…やだ…こんなに奥まで…きちゃうんだ…
初めての時は、杏寿郎さんを受け入れるだけで精一杯だったし、2回目の時は媚薬のせいでとにかく一杯一杯だった。でも今回は、杏寿郎さんの手でかなりの快感を与えられてはいるものの、媚薬を飲まされた時のような異常なまでの快感も、思考能力の低下も見られない。
わずかながらに余裕のある今の状況が、杏寿郎さんの行動やしぐさのひとつひとつを感じさせる要因となっていた。
「…っ…まずいな…。鈴音を気遣いたいのは山々なのだが…どうにもそんな余裕はなさそうだ」
「…っ…!」
恥ずかしげにそう言った杏寿郎さんは、可愛らしくもあればなんとも言えない卑猥さも孕んでおり、私の女の部分を激しく揺さぶってきた。
「……いい…ですよ?」
極小さな声で発したその言葉は、しっかりと杏寿郎さんの耳に届いていたようで、杏寿郎さんの肩がピクリと動いた。
「…杏寿郎さんの…好きなように…して…ください…」
自分から言い出したものの、途中から再び恥ずかしさが顔を出してしまい、私の声はだんだんと小さくなっていった。
けれども
「…っ!…は…あぁ…ん…!」
杏寿郎さんが私の言葉に応えるかのように、ゆっくりと私の身体を揺さぶり始めた。
「…そんな事を言って…君は…俺を…試しているのか…?」
そして、僅かに怒ったようにも聞こえる声色で私にそう尋ねてきた。
「…ん…そんな…つもり…ふ…ない…んぅ…」
「…無意識とあらば…それはそれで厄介…だ!」
「…っ…あぁあ!」
杏寿郎さんは語尾を強めると共に私の身体を揺さぶる力を強めた。私はと言えば、与えられる快感に耐えるように敷布団をギュッと握りしめ
「…あ…やぁ…んぅ…」
杏寿郎さんから与えられる快楽に喘ぎ声を上げる他なかった。