第11章 さよなら、ごめんなさい、そしてただいま※
大丈夫。なんてことない
理性を…理性を保たなきゃ
そう自分に言い聞かせながらも身体の中心が疼いて疼いて仕方がなく
今すぐその手で触ってほしい
そう思う自分がいた。杏寿郎さんはそんな私におでこをピタリとくつけ、超至近距離で私のことをじっと見つめている。
「…は…ふぅ…っ…」
「辛いだろう?素直に君の気持ちを教えてくれれば、すぐにでも楽にしてあげよう」
杏寿郎さんはそう言うと、合わせていたおでこを離し、今度は私の耳をペロリと舐めた。
「…っんぅ!…必要…あ、ありません…っ!」
「…そうか」
杏寿郎さんは呟くようにそう言った後
「…ひゃっ!」
グッと私を起こしあげ、そのまま軽々と抱き上げると
ボスっ
部屋の真ん中にある布団へと半ば放るよつに連れて行かれた。なんとか起き上がり、杏寿郎さんから距離を取ろうと試みるもあっという間に組み敷かれてしまい、私の視界は再び杏寿郎さんと、僅かに見える天井で埋め尽くされてしまう。
「…んぁっ…」
着物の合わせ目を這う杏寿郎さんの手が気持ち良くて、私の口から再び甘い声が漏れ出てしまった。
「触れただけでこうなってしまうとは…忍とは実に恐ろしい。こちら側の人間でよかったと心から思う」
スリスリと合わせ目を這い回る手の感触に
早く触って
もう触らないで
好き
離れなきゃだめ
様々な感情がぐるぐると頭を回り
「…はぁ…ん…ふ…」
私の思考回路はどんどん麻痺していく。
杏寿郎さんの手がとうとう私の合わせ目をぐいっと開き
「…や…っだめ…!」
私のささやかな谷間がその顔を出した。杏寿郎さんの指がそこをつーっと優しく撫でると
「…んやっ…」
気持ちがよくて、でも求めている刺激には全然足りなくて、私は無意識のうちに両膝をスリスリと擦り合わせていた。
「触れてほしいか?」
「…っそんなこと…ない…!」
「君は本当に天邪鬼だ」
杏寿郎さんはそう言いながら更に着物の合わせ目を開き、とうとう私の胸全体が外気に晒されてしまった。