第9章 燃やして欲しい、私の全て※
好きな人の前で自ら着物を脱ぎ肌を晒す。その行為は堪らなく恥ずかしく、私の指先は小刻みに震えていた。
1枚、また1枚と脱いでいき、とうとう最後の1枚となった。それを脱げば、私はもう何も身に纏わない、産まれたままの姿になる。
…っどうしよう…恥ずかしい…
ぎゅっと胸元を握りしめ、動けずにいると
「…もう我慢ならない…!」
「…っひゃ!」
炎柱様にグイッと手を取られ、再び布団の上に押し倒された。
「…っ!」
目の前に映り込んだ炎柱様の姿は、いつのまにそうしていたのか何も身に纏っておらず、傷だらけの上半身が私の視界に映り込んだ。
「…っお願いです…明るいから…せめて…せめて布団を被らせてください…!」
「…っ…俺としては…荒山の全てを隈なく見たい…」
私を見下ろす炎柱様の顎の先から、汗がぽたりと流れ落ち、私の胸元へと落ちてきた。
「…だめ…っ…傷…たくさんあるし…恥ずかしくて…無理です…」
「…っ…仕方ない…」
炎柱様はそう言うと、敷布団の横に乱雑に放っていた掛け布団をバサリと被った。そうすると、先ほどまではっきりと見えていた炎柱様の逞しい身体が微かにではあるが見え辛くなる。
目が慣れてしまえば、夜目のきく私たちにとっては意味のない行為であることは重々承知である。それでも、どうしてもそうしないと恥ずかしくてたまらなかった。
「…もう…いいだろう…?」
「…っ…はい…」
炎柱様は私の返事を聞くや否や、私の身体を隠す最後の一枚を脱がさんとその結び目に手をかけシュルリとそれを引いた。
露わになった私の胸に炎柱様の熱い視線が注がれる。
「…っ…そんな…見ないでください…」
「…このような状況で見るなと言う方が無理な話だ」
炎柱様はそう言うと、私の胸へとその手を伸ばした。
「…っ!」
フニフニと感触を確かめるように触れていたが、その後すぐ
「…ん…や…っ…恥ずかし…」
自分でもあまり触ったことのない私の胸の飾りを、剣蛸で硬くなった指先がクニクニとつまむ。
…やだ…人に触られるのって…こんなにも気持ちいいものなの…?
感じたことのないゾワゾワするような感覚にどうしたらいいかわからず、顔の横で握り拳を作っている手に力が入る。