第7章 溢れた想いの行先は
……この天井は……蝶屋敷…?
目を開けると、何度か見たことのある天井が視界に入り自分が蝶屋敷のベッドに横たわっていることを理解した。
…私…あのまま善逸の膝で寝ちゃって…ここまで運ばれてきたのかな?…そんなことされて起きないなんて…よっぽど疲れてたんだろうな。
自分で自分に呆れながらも、この間の炎柱様との任務の後の河原で居眠りの件もあり、おそらく耳と神経を酷使するとどうにも眠くなってしまう体質だと言うことはなんとなく理解できた。
炎柱様と善逸…それに炭治郎君に伊之助君は何処にいるんだろう?
部屋を見回してみても自分以外は誰もおらず
「…痛っ…」
痛み止めの効果がなくなり、ズキズキと傷む太ももの痛みを我慢しながらベッドから降りた。
私はノロノロと部屋の出口に向かい部屋の外に出た。
気配を探ればすぐに胡蝶様かもしくは、他の誰かしらが見つけられるとは思ったが、流石にあれだけの戦いの後でそんな気にはなれず、とりあえず何度かお世話になっている胡蝶様の診察室へと向かうことにした。
胡蝶様の診察室までもう少しというところまで差し掛かった時
"そんな!それじゃあもう煉獄さんは…隊士として戦えないってことですか!?”
「…っ!」
炭治郎君のそんな言葉が聞こえ、私は足を止めた。それからスッと自らの気配を絶ち、その声の発生元と思われる部屋へと近づいて行く。
扉の前まで来ると、扉にはほんの少しだが隙間が空いており、そんなことをするべきじゃないと思いながらも、私はその隙間から部屋の中を覗き込んだ。
覗き込んだ先には炭治郎君、胡蝶様、そして左目を包帯で覆っている炎柱様の姿がそこにあった。
「炭治郎君、落ち着いてください。あなたがどうしてもと言うのでここに着いてくることを許可しましたが、騒ぐのであれば自分の病室に帰ってもらいますよ?」
「…っすみません。…っでも!煉獄さんがもう今まで通り呼吸が使えないって言うのは…どうしてなんですか!?傷は無事手当てできたんですよね!?」
覗き込んだ部屋の中で交わされている会話に、私はスーッと背筋が冷たくなっていくのを感じた。