第6章 生きてこの先の刻を共に
絶対にどんな音も聞き漏らしたら駄目。
何があっても助けるんだから。
だからお願い。
じぃちゃん。善逸。
私に力を貸して。
炎柱様が放った斬撃は全て上弦ノ参の身体を捉えてはいるものの、頸への攻撃はギリギリのところですべて躱されてしまう。躱されてしまった攻撃を立て直そうと炎柱様が日輪刀を振り上げたその時、その動作を待っていたと言わんばかりに上弦ノ参は拳をぐっと引いた。
……絶対に…止める!!!
力を込め続けていた右足を思いっきり蹴り
「雷の呼吸壱ノ型…っ霹靂一閃!!!」
炎柱様の鳩尾目掛け真っすぐと進んでいく拳目掛け跳躍し
「…っ貴様ぁ!何度俺の邪魔をすれば気が済むんだ!」
その拳へとクナイを突き刺した。鳩尾に拳が届くことは防げたがその衝撃波までは防ぐことが出来なかったようで
ゴフッ
炎柱様の吐血した姿が視界の左端に映った。
絶対に。
それ以上は。
させない!
シィィィィィィィィィィィイ
呼吸を深くし、押し返してくる物凄い力に雷の速さをもって抗う。
すると私を先に始末するべきと判断したのか、上弦ノ参の拳が私に向け飛んできた。
ガシッ
「…っ杏寿郎…!」
炎柱様の手がその腕をガッシリと掴み、私への攻撃を防いだ。けれども
…だめ…もう…力が抜けて来てる!
私の勢いの方も段々と落ち始め、今にも弾き飛ばされてしまいそうだった。
その時。
「なに押し戻されてんだよ猫女ぁ!負けんじゃねぇぇぇえ!」
私のお尻をグッと支え、いつの間にか伊之助君が飛ばされないように支えてくれていた。
「鈴音さん!頑張ってください!」
そしてその後ろからは炭治郎君の声も聴こえてくる。
伊之助君…炭治郎君…!
限界はもうとっくに迎えてしまっていたのに、二人のお陰で不思議と力が湧いてきた。
「ガッ!」
炎柱様の日輪刀が上弦ノ参の頸を捉え、
「陽光です!このまま…焼き殺せれば…っ!」
私たち鬼殺隊の希望、陽光が私たちを助けるかのように差し始めた。