第6章 生きてこの先の刻を共に
そしてその乗客の中に
「…っ善逸!禰󠄀豆子ちゃん!」
禰󠄀豆子ちゃんと見知らぬ女性、そしてその子どもと思われる子を守るように倒れている善逸を発見し、慌てて駆け寄った。頭の先から爪先までゆっくりと確認し、結果としては額に出血は見られるものの、気絶しているだけのようだった。
ホッと息を吐いていたその時
「…っ何!?」
感じたことのない程の重苦しい気配を、列車の先頭の方から感じた。探ろうとしなくても、その気配がいかに物凄いものか、自分の全身から噴き出る冷や汗で理解できた。
そしてその気配と一緒に
炎柱様…それに炭治郎君と伊之助君の気配もする…!
3人の気配を感じた。
…っだめ。怖がってる場合じゃない…!行かないと…私が…炎柱様の助けに…ならなきゃ…!
グッと脚に力を込め
「ごめん善逸。…行くね」
気絶している善逸にそう声をかけ、私は先頭車両の方へと急ぎ向かった。
「…上弦ノ…参?」
たどり着いた先頭車両でのその光景に、私は自分の目を疑った。
勝ち目なんて…あるはずが…っない…。
大きな音を立て、砂埃を巻き上げ、目で追うのがやっとなほどの速さで戦いを繰り広げる炎柱様と、初めて目にする上弦の鬼の姿。
…炎柱様…あんなに沢山の型を使った後で…疲れてないはずがないのに…っ!どうして…なんで今…上弦がいるのよ…!?
腹部を怪我しているのか、炭治郎君はお腹を押さえてしゃがみ込んでいるし、伊之助君は炎柱様と鬼の激しい戦闘の激しさに飲まれてしまっているのか直立で動かないままじっとそちらを見つめているのみ。善逸はあんな状態でいつ目が覚めるかわからない。
けれども例え3人が動ける状態だとしても、恐らく炎柱様の助けになることは不可能だ。それどころか、炎柱様と上弦の間合いに入ることで邪魔になる可能性のほうが遥かに高い。
…私も同じようなものだけど……でも、私には私にしか出来ない戦い方がある。間合いに入らなくても…戦う術が…ある!私が…私が炎柱様の助けにならなくちゃ…!