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Volleyball Boys 3《ハイキュー!!》

第1章 ★Vê você:日向



体育館をぐるっと見回しながら待っていると、選手が集まり、ウォーミングアップが始まった。テンポのいい曲がズンズンと会場を揺らす。先にアドラーズがアップを終え、交代でブラックジャッカルがコートに入る。

身長180cmは優に超えている集団の、その中に、1年前と変わらないオレンジの頭を見つけた。


『しょ、翔陽…っ!』


声を掛けたら迷惑かもしれないと咄嗟に思い、尻すぼみになる。黒字に黄色い爪痕のデザインのユニフォームを身にまとった翔陽は、何かを探すように会場を見渡す。

目と目が、合って。嬉しそうな顔をした翔陽がこっちに走ってきて、周囲がざわめく。


「陽菜乃、ずっと会いたかった」


ぐいと左手を引っ張られ、腕の中に閉じ込められる。キャアァと周りから黄色い声が上がり、翔陽のチームメイトが囃し立てる声がする。

あの頃より、ずっと筋肉質になった身体と、変わらない体温と匂いに、思わず目頭が熱くなるのを感じる。


『しょうようぅ…』


会いたかった、寂しかった。会えて嬉しい、ほんとに有名になって帰ってきてくれた。そっと肩を両手で押され、改めて顔をまじまじと見る。

そこには何も変わらない、私の好きな、翔陽がいる。


「待たせてごめん、約束守りに来た
 これから陽菜乃を知っていきたい、
 だから、俺と付き合って欲しい」


返事は、試合の後でいいから。おれ、陽菜乃のために最初の1点とるから、だから見ててね。

私の返事も聞かず、そう一方的に告げると、頭をぽんと叩いてコートに戻っていく。もみくちゃにされる翔陽を見てハッとし、慌てて椅子に座る。

自分の顔が真っ赤になっているのが簡単に想像できるぐらい、頬がほてってしょうがなかった。


各チームのスターティングメンバーの紹介が終わって、最初のプレーは。


宣言通り、翔陽がサーブレシーブを上げて、それを綺麗なスパイクで相手コートへと叩き返した。

ただいまと大声で叫ぶ翔陽、会場が熱狂に包まれる。


『おかえり、翔陽』




 
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