第133章 むかえに。
小塚の研究員であろう大男から降谷が手を離し、少しずつ後ろに下がってめぐみと見つめ合う。
「バイバイ。」
口パクで降谷のことを《零さん》と言ったのは、降谷にもわかった。
めぐみが貝山の銃を抱えてたまま、手に持った白い錠剤を口に含むのを見て、降谷は手を伸ばしたが、間に合わなかった。
何の薬だったのかなんてすぐにわかった。
めぐみは、薬で帰ることになるのか急に身体が消えて帰ることになるのか常に気にしていたからだ。
目の前でふっと消えためぐみ。
降谷を含めたその場にいた全員が何も言わずに、めぐみがいた場所を見つめた。
「くそっ!」
貝山は大声をあげ、はっとした降谷はホルスターから銃を取り出し貝山たちに銃口を向けた。
相手は3人とはいえ丸腰だ。先程研究員が持っていた銃は降谷の後ろの方にすでに蹴り飛ばしている。
「手を上げるんだ。」
「くそっ!せっかく会えたのに!あの子に!!」
一生かけて愛でるつもりだった。
あの身体を楽しむ予定だった。
などと、ぶつぶつ言っている貝山に発言に不快感を表す降谷はグリップをぎゅっと握りしめた。
「…貝山。と言ったか。手を上げろ。」
「うるさい!うるさい!うるさい!!…そうだ、薬だ。薬でまた呼べばいい。いやあのキャラは反抗的だ。他の漫画の女の子にしよう。」
…《キャラ》。
降谷はどんどん不愉快になった。
めぐみをそんな風にしか見ていなかったからだ。
「おいお前、特殊能力があるキャラは呼べないだったな?」
「…え?あぁ、たぶん。成功したことはない。」
大男はおどおどした声で貝山にそう答えた。
降谷が怖いのかずっと肩あたりにまで手を上げている。