第129章 真実
どういうことだろう。
降谷さんはなんて言った?
「…私が?」
「あぁ。…受け入れられないと思うが、」
「……。」
私が本の中の登場人物だったの?
降谷さんが横で何か言ってくれているが殆ど頭に入らなかった。
「私が…何の本…?」
「青年マンガだ。俗に言うヤンキー漫画だな。主人公の恋人になる役…それが“夏目めぐみ”。君だよ。」
よりにもよってヤンキー漫画。
「ほとんど漫画には登場しないが、僕も見たが容姿は君にそっくりだったよ。」
「……。」
「めぐみ?…平気か?」
「あ…うん。ちょっとびっくりしただけ。実感が湧かないの。」
ぼーっとしてしまう。
私が降谷さんの横で座って黙っていると、肩を引き寄せ抱きしめてくれた。
「なんで…私を?薬を飲ませてこの世界に呼んだのは小塚製薬なんだよね?」
「あぁ、それは間違いない。順を追って説明する。」
私は一度深呼吸をして、降谷さんを見つめた。
弱い頭でもちゃんと理解しなきゃ。
「小塚製薬は世界中の色んな本の色んな登場人物をこちらの世界に呼んで、一つの街を作ろうとしていたんだ。一つのテーマパークのようなものを。」
私は黙って降谷さんの話に集中した。
「それがあの風見が誘拐された場所、開発途中のあの場所だ。」
「あそこにひとつの街を作ろうとしたの?」
「そうだ。色んな投資家や世界の組織に話を持ちかけ資金を集め、計画を進めた。」
「…。」
「しかし、計画は失敗。街の開発はめぐみも見た通り、途中で終わってしまった。」
「…うん。」
新しいビルや商業施設が作りかけのまま入り組んでいたのはそのためだったんだ。
「でも、失敗って?」
「漫画の世界は特殊能力を持つ人物が多いだろう?」
「うん。」
「そういった登場人物はこちらに呼ぶことはできなかった…。街中でかめはめ派やら、呪文一つで変身なんてされたら敵わないからな。」
「…でも……。」
「そう。君がいる。」
「…。」
「めぐみ。君はこの実験のたった一人の成功者なんだよ。」