第12章 おかえり
スカートの裾をぐっと掴み、私はきっと安室さんを睨みつけた。
「し、仕事中です!」
「仕事終わればいいんですね。」
「だ、だめっ!」
「くくっ。そんな表情で言わないでください。」
安室さんは私の手首をもってぐっと引き寄せた。
「きゃっ」
安室さんの膝に手をついて目の前にきた安室さんの顔から背けた。
「もっとしたくなる。」
再び耳元で言われ、私は耳を押さえ後ろに下がった。
「も、ほんと…勘弁して……っ」
カランカラン
「残念。タイムオーバーですね。僕の食器もお願いしていいですか?」
来客を告げる鐘が鳴り、にっこりと再び営業中の優しい安室さんに戻った。
コロコロ表情が変わる人だ。
「あ、はい。」
「めぐみさんはゆっくり食べててください。」
「あ、はい。」
あまりに表情がガラリと変わったもんだから、戸惑ってしまって、私は返事をするしか出来なかった。
ほぼ無理やりキスされたんだからもっと怒っていいはずなのに…
私は触れられた唇にそっと指をあてた。