第126章 守りたい
ポアロをやめろって言われた時は悲しかった。
だけど、一緒に働く梓さんに何かあっても嫌だし、今日だってテーブルが倒れたりして、お店に迷惑をかけてる。
「わかった。全部片付くまでここには来ない。」
「マスターや君のお世話になってる孝臣さんだったか?その人にも簡単に事情を話しておいた方がいい。だけど、どこに潜伏するとかそう言ったことは絶対に言っちゃダメだ、梓さんにも。」
「…梓さんも?」
「彼女を守るためでもある。」
「…わかった。」
私は小さく頷いた。
「こうしてる間も敵は動いてる。心の整理は出来てないだろうが、早めに動こう。」
「はい。」
降谷さんは私の頭を撫でて、手を引き立ち上がらせた。
「大丈夫。僕がなんとかするから。めぐみの部屋に行って最低限の荷物を持ってとりあえず僕の家に行こう。」
「はい。」
私はポアロのエプロンを脱ぎ綺麗に畳んだ。
挨拶もせず、ここを去るーー…。
マスターに雇って貰って、梓さんと働いて、安室さんと出会ったここを。
テーブルにエプロンを置き、ずっと使っていたパソコンを撫で、部屋をぐるっと見渡した。
「…たくさん色々あったなー。楽しかった。また…戻ってこれるかな…。」
「戻って来よう。僕もまためぐみと働きたい。」
「…うん。」
「行こう。」
「はい。」
最後裏口から出る時、ずっと働いていたポアロに頭を下げて、前を行く降谷さんを追いかけた。