第124章 モテ期
「それではまた、月下の夜にー…お嬢さん。」
「お嬢さんなんて、年下に言われるくすぐったい。おねぇさんにしてくれると嬉しいな。」
「…私の年をご存じで?」
「ふふ。知ってる知ってる。今日はありがとう。まだ人通りが多いから見つからないように気をつけて。明日も学校でしょ。」
「…お名前をうかがっても?おねぇーさん。」
「めぐみです。私は貴方のお名前はキッドとしか知らないけれど。」
「名前は知らないけれど、学校のことは知ってらっしゃる…不思議な方ですね。」
私の前に手を差し出し、ポンっと音と共に一本の赤いバラを取り出した。
「わぁ!すごい!マジックだ!」
「どうぞ。できれば私のことは内緒にしといてくださると助かります。」
「誰にも言わないよ。コナンくんには言うけど。」
「まぁ、あのボウズはもう知ってるから…。」
コナンくんのことになると高校生らしくなるのが可笑しくてくすくす笑ってると、キッドはふっと笑って後ろに飛び上がった。
「では、おねぇさん。何で命狙われているのか知りませんが、お気をつけてーー…。」
「キッドさん、ありがとう。」
手を振って空へと消えていくキッドを見送ると、私はすぐに携帯を取り出した。
メールが何通か来ていて、どれも貝山さんからだった。
約束の時間に私がこなかったから心配をしているようだった。
ーー申し訳ないことをしてしまった。
『ごめんなさい。急用が出来て、連絡もできず…。また別の日にさせてください。』とだけ、メールを送って、わたしは次はコナンくんに電話をした。
もしかしたら、私を狙った人たちは、私をこの世界に呼び寄せた人なのかもしれないと思ったからだ。
「あ!コナンくん?ごめんね?ご飯は終わった?」
「今食べ終わったよ。どうしたの?」
「じゃあ、ポアロに来てくれないかな?話したいことがあるの。」
「わかった。蘭ねーちゃんに言ってから行くね。」
私は電話を切ると、既に閉店した暗いポアロの裏口の鍵を開けた。